約 63,469 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/415.html
***オレは大変苦悩していた。生まれてはじめて一人の女にマジ惚れしてしまった。その感情たるや想像の範疇を超えていた。愛しさ、苛立ち、嫉妬、萌え、トキメキ☆…これらが荒波のように次から次へと押し寄せてくるものだから、彼女と二人でいる時など、平静を保つことに死に物狂いにならなければいけない。天下の色男カリスマ騎士ククール様が、だ。もはや面目も体裁もあったものじゃない。最初はどうにか隠し通すか、己の気持ちをなかったことにしようと必死になっていたのだが。…さっさと気付いてしまう。こんな四六時中共に行動していてそれは不可能であると。振り返ればそこに赤いツインテールが揺れていて、視線を下げれば最強の胸が揺れていて、声をかければかわいい声が返ってきて、呼べばパタパタと傍までやってくる。機嫌が良ければ手くらい繋げるし、ふいをつけばほっぺにチューだってできる(燃やされるが)。この状態でどうこの気持ちを抑えつけろと言うのか…。何が困るって、自分自身が制御できないことである。自分で自分が何をしでかすか予想がつかない。それはあらゆる意味でだが、まず下半身が暴走する。言うまでもなく性に関しては相当 奔放に好き放題してきた身ではあるが、実のところオレは、自分が別に人並み外れて性欲旺盛というわけではないとわかっていた。別に嫌いでもないが、なければないで恐らく全然耐えられる。自ら望まなくても気付けばいつも目の前にさぁどうぞと用意されていたから食したまでで、なくても飢えはしない。だから、はじめて彼女を無意識に襲いそうになった時は、そんな自分に本気で衝撃を受けた。可愛い口唇にキスしたくなるのはいつものことだし、剥き出しのセクシーな肩に噛みついたり滑らかな背中を舐めたくなるのも常だし、一日に一度は必ず、普通にそのへんの木陰に連れ込んで押し倒したい衝動に駆られる。風呂上りとか真剣にやばい。同じ部屋でだけは寝られない。カリスマが辛抱たまらず襲う、だと!?あまりにもあり得ない、あまりにも情けない。信じられない。相手が例え、おいろけスキルを自在に操る最強の天然無防備巨乳娘だったとしても、だ。そしてもう一つ困るのは、単純に感情が制御できないこと。とくに最近はその傾向が激しい。これには本当にオレ自身困り果てていた。正直自分はポーカーフェイスの達人であると自負してきた。でなければギャンブルでイカサマはできない。喜も怒も哀も楽も、すべて意味ありげで謎めいた微笑の裏に隠してしまう、どんな時も、優雅かつクール。それこそが色男ククールの真髄であると。余裕のない姿なんて、レディの前で曝したことは一度もない。例えば彼女の笑顔ひとつで赤面してしまうとか。彼女をナンパするブ男共と、奴らを誘惑してるとしか思えない格好を平然とする彼女自身に対して思わず声を荒げてしまうとか。彼女の受けた哀しみを自分もそのまま感じ取り、その涙に叫び出したくなるほど胸が締め付けられるとか。彼女がそばにいてくれるだけで楽しくて、もう他になんにもいらないなぁ、とゆるみきった顔で思ってしまうとか。…ニヤケ顔を晒すとか、女の子に怒鳴るとか、相手の涙に自分も泣くとか、幸福の具現を実感し人生を顧みるとか…クールに飄々と生きてきた色男にとって、そんなことはあり得なかったのだ。断じて。一方で、表情が隠せないのに反して、逆に本心が全然素直に表現できない。ものすごく可愛いのに「可愛くねぇなぁ」と口走ってしまったり、抱きしめたいのにからかってしまったり、ここで口説いちゃいかんだろうとわかっていながらヘラヘラ口説いてしまったり、優しくしたいのにそっけなくしてしまったり、素直に褒めればいいものをいちいち皮肉を言って彼女を怒らせたり…(その顔がまた可愛いのでさらにいらんこと言って燃やされたり)。そんな時、脳みそのどこかはパニック状態だ。アホかお前ともう一人の自分がブチ切れている。でも、口から出てくるのはあまりにも素直じゃない言葉ばかり。自爆しまくりだ。こんままじゃいかんと身を引き締めても彼女を前にすると、オレがそれまで己を保つために隠し通してきた「本当の性根」がズルズルと引き出されてしまい、いつのまにか壁も楯もなくなってしまう。かっこつけられない。レディに対して振舞うべき余裕のポーズがどうにも決まらない。それはオレがあくまで「軽薄男」を演じる上で何より重要なことなのに、どうしてもうまくいかない。彼女の前だからこそ悠然と、優雅に、クールに振舞いたいのに、そう努めたところで彼女はそんなもんに興味を示さないし。どうすりゃいいんだよ、と不貞腐れている姿がまたカッコ悪いことはよくわかっている。これだけ振り回されるといい加減腹が立つ。しかし、正直なところどこかでそれを楽しんでいる。恋愛は駆け引きだ。しかも相手は難攻不落。ギャンブラーとしてやりがいがあると言えばこれ以上はない。生まれて初めての「マジ惚れ」は、まったく知らなかった自分の一面を次々と目の当たりにさせてくれた。仇をうつことも世界を救うことも全部含めて、毎日が予想のつかないことだらけで退屈のしようがない。一種あきらめの境地に立って、開き直るしかないのかもしれない。惚れてしまった以上は。―――可愛いのだから仕方がない、と。自分のななめ前で、ゼシカが馬姫様に話しかけながら笑っている。その花のような笑顔に心が奪われる。文字通り本当に奪われる。見惚れながら、あぁ ちょっとでいいから抱きしめてぇキスしてぇ、とぼんやり考えていると、眼の前の木にぶつかりまた色男としての株を下げた。大きな音に目を丸くして振り向いたゼシカが、次の瞬間腹を抱えて爆笑した。「~~~んな、な、何やってんのよあんた…っ!!そんな大きな木にぶつかるって、…っ、あっははははははははははは!!!!!!!!!!!お、おなか痛い…っっ!!!!!!」………………この女。お前のこと考えてたからだよ、責任取れ。むすっとしたまま無言でスタスタと先を行く。ちくしょう、やっぱり理不尽だ。なんでこんな可愛げのない女のためにオレがこんなカッコ悪い目…「大丈夫?」ハッと気づくといつのまにか前に回り込んだゼシカが、からかうのではなく、邪気のない笑みでオレの顔をのぞきこんでいた。思わず言葉に詰まる。今どんな言葉を返してもカッコ悪いことになる気がした。「……別に、なんとも―――」「おでこ、赤いわよ」ゼシカの指がオレの額にひんやりと触れる。…つくづく思うのだが、恋愛って心臓に悪すぎるよな。いつかショック死しそうだぜ。彼女の方からふいうちで触れてくるとか、嬉しいけどマジ勘弁してほしい。鼓動を押さえてなんとか平静を保ちつつ、オレは精一杯の力を振り絞ってにっこりと余裕の笑みを浮かべ、ゼシカの砂糖菓子みたいな手をさっと取った。…自分から触れる分には問題ないんだけどなぁ。「ゼシカちゃんが舐めてくれたらすぐ治るんだけど?」「…するわけないでしょっ!バカ!!」途端にプイッとそっぽ向いてしまった赤い顔が可愛い。…やっぱりカワイイ。顔はそむけたくせに、握られた手はそのままでいてくれることに気づいた。顔がニヤける。存分に調子に乗りたいのを我慢して、オレは握った手にそっと力をこめる。そのまま並んで歩き、ゼシカは色々とオレの文句を言いながらも、その手を振り払おうとはしなかった。…まぁ、苦悩も幸せのうちなのかもしれない。だとすれば一人の女にマジ惚れするのも、正直悪くないなと思った。 同シリーズ作品:乙女の悩み
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/262.html
337 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/06/16(月) 03 00 20 ID H1UXWhco0( ´∀`)<ククールさんはゼシカさんのこと好きなんですか? 〃彡ミヽ. 〈(((/(~ヾ》 .ヾ巛゜д゜ノ" <はっ?誰があんなじゃじゃ馬。 オレはもっとおしとやかで守りがいのある女の子が好みなもんでね。 .〃彡ミヽ. 〈(((/(~ヾ》 ヾ巛゜-゚ノ"<まぁ、いい女ってのは認めるよ。あの顔にあのボディ、 闘わせれば武器は使いこなすわ魔法は強いわ、 頭はいいし品もある。 .〃彡ミヽ. 〈(((/(~ヾ》 ヾ巛-゛。-ノ"<そのわりに常識ねぇっつーか世間知らずつーか無防備つーか 言ってることとやってることに差がありすぎるっていうか 身体は一人前どころか十人前くらいのくせして頭はお子チャマっつーか ..〃彡ミヽ. 〈(((/(~ヾ》 ヾ巛#゚Д゚ノ"<このオレが何度襲うぞゴルァってなったか わかってんのかイヤぜってぇわかってねぇんだろうけど とにかく危なっかしくて放っとけねぇんだよ全く (;´∀`)<…………好きじゃないんですよね? .〃彡ミヽ. 〈(((/(~ヾ》 .ヾ巛゜д゜ノ"<だからそう言ってんだろ ( ´∀`)<ゼシカさんはククールさんのこと好きなんですか? .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ!゜д゜ノ!))<はぁっ!?冗談よしてよッ誰があんなケーハク男!! 私はもっと誠実で真面目な人が好みなの!! .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ!#゚ -゚ノ!))<……………ま、カッコイイってのは認めるわ。顔はね。 だって高くてスタイルもいいし、サラサラの銀髪も素敵だし。 レイピア使わせると達人だし弓も得意だし魔法まで強いしね。 .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ(!#゚n゚ノ!))<……………………で、も!その全てを鼻にかけて遊び歩いてるところが許せないのよ!! いつでもどこでも女の子女の子って、デレデレしちゃってホンット不真面目なんだから…! .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ!#゚д゚ノ!))<…何よ、下心見え見えのくせに。どうせ胸しか見てないくせにッ。どうせ本気じゃないくせにッッ!! .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ! д ノ!))<ククールのバカーーーッッ!!!!!! ( ´∀`)<好きなんですか? .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ!`Д´ノ!))<あんなヤツだいッッッッッキライよ!!!!!!!!!!!! ククゼシその後 .〃彡ミヽ. (((/(~ヾ》 ヾ巛^ヮ゚ノ" <昔素直になれなかった分、これからはたっぷり愛してやるからな 覚悟しとけよ?ゼシカ .,'^y'⌒⌒ヾヽ .))!#八~゙リ(〈 (.(ヾ!*゚ -゚ノ!)) <……バカ! ☆ ☆ ☆,'^y'⌒⌒☆ヾi⌒ミヽ.☆ .. ))!#八~゙リ(〈(~)リ))|i ☆(.(ヾ!*゚о゚ノ(゚ヮ゚*川.ノ☆ '゙ つ(⌒⌒)( ) ☆ . \/ ☆ ,☆ ☆ . .☆
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/70.html
次の目的地に向かうその道中で、ゼシカの小さな異変に気付いたのはククールだった。 「ゼシカ、足どうした?」 ククールはゼシカの腕を取り、その顔を覗き込んだ。 「どうもしてないけど?」 ゼシカは嘘をついた。本当は左の足首がキリキリと痛む。 少し前に木の根につまづいた時に捻ってしまったのだ。 出発したばかりであったし、大した事じゃないと思い我慢して歩いた。歩いているうちに痛みが増してきた。痛めた部分が熱をもって脈打つのを感じた。それでも更に我慢した。 ゼシカは普段から、泣き言めいた事を言うのを必要以上に嫌っていた。女性である事に気を使われたくはなかった。 上手く自然に歩いていたつもりなのにどうしてバレたんだろう、とゼシカは内心思った。 「……。」 ククールは面白くない、といった顔で黙った。そして不意に掴んでいたゼシカの腕をそのまま自分の方にちょいと引いた。ゼシカは体勢を崩す。すかさずゼシカの膝の下に自分の右腕をくぐらせ、ふわりと身体ごと両腕で抱き上げた。 「何すんのよ!下ろしてよ!」 「ヤだ。」 ククールはゼシカの喚きたてる声を気にせず、そのまま歩きだす。 ゼシカは自力でこの状況から脱出しようと手足をじたばたさせるが、それが状況を更に不利にする。足首に響くような痛みが走った。 「い…った…。」 「それみろ。頑張り屋サンなのも結構だけど、人の好意に甘える事もそろそろ覚えないとな。可愛くないぜ?」 「可愛くなくて結構です。」 ゼシカはプイと横を向いた。それからもう一度ククールの方に顔を向け、ちょっとだけ憎らしげに上目遣いで見た。何故か頬を赤らめていた。その様子を見てククールは笑みを零した。 「お、やっぱり可愛いカモ…。」 「~~~~~!」 ククールの減らない口にやり返す術を無くしたゼシカは再び暴れだす。ククールは慌ててポカポカと胸や顔や頭を叩いてくるゼシカを落とさないように押さえ込んだ。 「次の町はもうすぐだ。このまま抱いてってやる。」とククールが言った。 「フン、だ。重いからあんたの腕なんか折れちゃうわよ?」とゼシカが返す。 「あ~、ほんと~に重~。」とククールが大袈裟に空を仰ぐ。 「ムカつく。」と更にゼシカがふてる。 「うそうそ。」ククールは微笑む。 『---一生やってろ!!!!』 エイトとヤンガスとトロデとミーティアは、心の中で一斉に言った。 仲良く楽しそうにじゃれている(様にしか見えない)二人を努めて無視して馬車は進む。 ホイミしろよ…とつっこむ気にもならないエイト達であった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/361.html
あれから数ヶ月が経った。ゼシカの屋敷にて、エイト、ヤンガス、ククールは夕食に招待された。・・・たまには、みんなで会いたいわ。かつてのトロンデーンでの宴の終わりに、ゼシカが提案したのだ。テーブルに並ぶ豪華な料理とぶどう酒を前に、4人の話は尽きることなく続いた。時間の流れが瞬く間に思えるくらい。エイトは明日の昼まで休みをもらったというので、今夜はリーザスの宿屋にヤンガス、ククールと泊まることにした。ヤンガスは満腹のせいか、そしてエイトは慣れない酒のせいか、宿に着いて間もなく、深く眠ってしまった。ククールは――時の流れの早さを惜しみつつ、ベッドに横たわっていたが、眠りを妨げる想いから少しでも解放されるために、外の空気にあたることにした。涼しげな風に、草木の香りが心地よい。「遅くまでありがとう、おやすみなさい」教会の扉が開いた。そこから漏れる光と、聞き覚えのある声。扉から出てきて奥に向かって会釈する、見慣れた影。やがてククールの存在に気付いたそれは、真っすぐとこちらに近づいてくる。「・・・ククール?」ゼシカが、小さな声で話しかけた。「ゼシカ。こんな時間に教会に?」ククールが聞くと、ゼシカは暗がりの中で微笑し、頷いた。「今日、とても素晴らしい日だったから、神様に感謝してたの」照れ隠しのように、話題を変える。「ククールはどうてここに? 眠れない?」「・・・ああ、ヤンガスの鼾がうるさくてな」いつもと違う、清楚な女性に見えたゼシカへの胸の高鳴りを、必死で隠す。ククールは小川に目をやった。「リーザスは美しいな・・・水の流れに月が映える」ゼシカは、うん、と呟き、微笑んだ。月明かりに照らされ、微笑むゼシカはもっと美しい。言いたかったのを、ククールは飲み込んだ。しばらくの沈黙。水の流れる音だけが聞こえる。「少し、冷えるわね」ゼシカが、屋敷のほうに目をやった。ククールはその視線に気づく。ここで離れたら、しばらく会えないのか?その瞬間にあふれ出す、抑えられない想い――ククールが一歩、前に出た次の瞬間、ゼシカは息を呑んだ。「・・・!」彼女が今いるのは、冷たい夜風の中ではなく、ククールの腕の中。暖かく、広い胸、長い腕に、しっかりと抱きとめられている。ククールは、自分の鼓動がすでに高鳴っているのをゼシカに悟られるのが、少し怖かった。息を吸い込むと、震えるようにゆっくりと吐き出した。「ゼシカ、愛してる」計画していなかった言葉がもれる。「何?、急に」あがらおうと、ゼシカの肩に力が入る。とっさに、ククールは両腕の力を強めた。「愛してる。嘘じゃない」顔を伏せ、ゼシカの額に頬を寄せる。こんなに真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるなんて、いつもの饒舌なククールとは違う。それが冗談ではないと察したゼシカは、次第に体の力が抜けていった。思わずして、嘘よ・・・と、心にもない言葉を発する。「俺のほうを見て」ククールが腕の力を緩めた。「・・・・・・」ゼシカは――ゆっくりと、まるで月を見上げるかのように顔をあげ、そして視線をククールの瞳に合わせた。月が、魔法をかけたのか。ククールは、自分を見つめるゼシカが、狂おしい程愛おしく感じた。ゼシカの頬に、ククールの銀色の髪がかかる。互いの唇の温度さえ感じる程の、ごくわずかな距離まで、顔を近づける。その距離のまま、動きを止めたククールの口元が、微かに動いた。(――いい?)ゼシカの耳に届いたその声は、胸をも締め付ける。顔をそむけられなかった。目をそらすこともできなかった。そして――それがゼシカの返事となった。ひとつに重なる、二人の影。月は高く、登っていた。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/277.html
52 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/26(土) 23 17 12 ID p5KX/IrcO ククールとゼシカって結構身長差あるけどそれぞれ身長どれくらいなんだろ? 1番バランスが良い身長差が15cmだと聞いた事あるから ククール→178、ゼシカ→163と予想 53 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/27(日) 12 54 13 ID Al7nfpH8O 考えてた身長同じ ゼシカと8主が身長同じくらいだから163はないとかわいそうだなと ククールは175は欲しいとこだよね 54 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/27(日) 20 27 21 ID uvlqsQXkO ククール→177~180くらいで ゼシカは160~163くらいのイメージ。 ゼシカからキスをしようと背伸びしてもギリギリ届かなくて、 ククールが少し身を屈めてようやくキスできるくらいの身長差を希望。 55 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/27(日) 22 51 18 ID DcZ+VjWJO ククールとゼシカの身長差は見てて嬉しくなる 並んだ時本当お似合いって感じでw 56 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/27(日) 23 17 43 ID fBKtN7i/0 ゼシカからククールにキスをしようとするシチュエーション… それはきっと想像を遥かに越えた萌えエピソードが潜んでいるに違いないな 57 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/27(日) 23 51 50 ID 0L3q94Un0 しかもククはいぢわるして、わざとかがんであげないでゼシカが頑張って背伸びしてるのをニヤついて見てたり しまいにゃ「届かないわよっっ!!もうッッ!!!!」と癇癪おこしたゼシカがククを押し倒して キスというよりぶつかるようにちゅーするんだよ 58 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/28(月) 03 00 19 ID z/0EEETiO それで歯があたってしまい、から出た血を拭いながら 「こんなに激しいキスをされるのは始めてだ」とククにからかうように言われ ゼシカは真っ赤になってしまうという訳ですね。 59 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/28(月) 19 30 41 ID u7LslfNr0 57 不意打ち&予想外のゼシカの行動にククール始めはびっくりして固まりそうw でも直ぐに持ち直し、キスというよりもぶつかっただけのそれに対しからかうなりして、 「こんなに情熱的なキスを貰ったからにはこちらも誠心誠意お返しをしなければな」だか 「ちゃんとしたキスの仕方教えてやるよ」だか言って逆にゼシカを押し倒し返すような体勢に…(ry 60 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/28(月) 22 00 55 ID dzmvrqFdO ゼシカからククにキスする事になった経緯を知りたい なんかの罰ゲームか、それかククに上手い具合に言い包められたか… それにしても必死に背伸びするゼシカに対し、 わざとかがんであげないってククってなんかいいなぁw 61 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/28(月) 23 50 42 ID bVMW21P70 罰ゲームが妥当ですかねぇ どちらにしろゼシカが相当な劣勢状況とみた ゼシカより上手のククも萌える…! 62 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/29(火) 20 13 29 ID vvULJlfWO 一見ゼシカが劣性に見えて最終的にはククが「負けた」と思うような展開になりそうな… 63 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/29(火) 20 30 55 ID LcwbsR5A0 最初はククの優勢に始まるように見えて、 最終的にはゼシカが優勢。だけど本人にその自覚はなく、 ククールが(ゼシカには敵わねえな…)と心の中で思っている感じだといい 64 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/04/29(火) 22 48 38 ID UG8sSfybO いつもククールからゼシカに迫る分、逆にゼシカの方から迫られると ククールは純情少年のごとく慌てて顔を赤らめる…といいな
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/303.html
アーンの定義を元に 860 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/26(金) 02 01 13 ID fgD9yrRT0 857 GJ! 主人公とヤンガスの気まずーい感じにワロタ。 ククゼシ二人にこんな風に目の前でいちゃつかれたら 自分は発狂するくらいに喜ぶよ。 二人のやりとり可愛すぎる!! だけど実際にゼシカが「はい、ククール!あ~~~ん♪」ってやってきたら ククは驚いて固まるり、少し遅れて顔を真っ赤に染めそう。 ゼシカをからかって楽しんでいたつもりだったのに、 逆にゼシカにしてやられてしまうククなんてのも結構好き。 861 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/26(金) 18 50 51 ID yn7tV3530 ククゼシは仲間大公認のカップル …ただし肝心の本人達だけがその事に気がついていない 862 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/26(金) 21 30 43 ID KB1el+QO0 ククの方は実はちゃんと相手や自らの行動を理解しつつ 敢て気づいていないふりして状況を楽しんでいるとか なんの疑いも抵抗もなくククの口元に料理を運んだり、 ククに差し出されたにんじんをそのまま食べたりしている 子供みたいなゼシカに内心萌えマクリデレまくりなククw ククの方も全く気づいていないというパターンも萌えるけどw 863 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/27(土) 08 33 43 ID Xxur8Zm50 857 ククやゼシのやりとりや、主人公とヤンガスの気まずさぶりも可愛いけど、 きちんと口の中の物を飲み込むまで喋るのを我慢する、ゼシカのお嬢様らしさに感動した。 864 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/27(土) 15 55 02 ID fpR1YSkI0 オレ、ゼシカちゃんが食べさせてくれるんならなんだって食べちゃうぜ~♪ ゼシカの口移しだったらどんなに嫌いなものでも 喜んで大量に食べそうだなククと思ってしまったw 865 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/27(土) 22 44 45 ID JqBHGUqK0 ククがゼシカに口移しで食べさせて欲しいと頼んだ場合のゼシカの反応妄想 出会った当初↓ 「燃やされたいの?」と鋭い眼光でククを睨み指先には揺らめく炎 なんかいい雰囲気になってきた辺り↓ 「な、何言ってんのよ…!そんな事できるはずないでしょっ。…バカ!」と赤くなって俯く 付き合ってラブラブ絶頂期↓ 「え…」と一瞬驚いた表情で固まった後、「……………仕方ないわね……。 今回だけ、特別なんだからね…」とぎこちなくククに顔を近づけ、 ゼシカが本当にやろうとするとは思っていなくてびっくりしたククが逆にたじろぐ。 866 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/27(土) 23 10 18 ID aspuq85v0 しかし口唇が触れ合った瞬間に何かがキレたククールが襲いかかってキスしてきたため、 思わず口の中のニンジンを飲み込んでしまうゼシカ そしてそのまま組んずほぐれつペケペケ その後(ベッドの中で) 「………あっ!結局食べなかったわね、ニンジン!!」 「ちゃんと食べたじゃん、ゼシカごと♪」 「………………!!!……バカッ!!///」 867 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/28(日) 00 53 15 ID bZq3+ClR0 ちゃんと食べたじゃん、ゼシカごと♪ ククwww ククの好き嫌いを克服する前にゼシカがククに食われまくりそうだw 868 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/28(日) 01 02 42 ID hjgXxEHx0 やばいwククがアホであればあるほど萌えるwww 869 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/28(日) 17 49 58 ID jt4s1F2d0 866 ゼシカ=ククの起爆剤ですねw 最初ただからかうだけのつもりで 「ゼシカの口移しだったら食べるんだけどな~」とか言ったら 顔を真っ赤にして固まるゼシカの反応に(可愛すぎw)とにやけ 決意を固めるような表情で顔を近づけてきたゼシカに驚き 唇までの距離があと数cmという所では既に思考停止状態で 唇が触れた瞬間大爆発。 870 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/28(日) 20 11 46 ID bv/ngU/80 詳細説明乙w 871 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/29(月) 01 00 37 ID HMu68p0i0 ククにニンジンを食べるように説得するゼシカ、しぶしぶ了承するクク。 そしてゼシカが自分の食事を再開してニンジンを食べていた時に 不意打ちで強引にゼシカの唇と中のニンジンを奪ったククが「本当だ、おいしい♪」と微笑み、 突然の出来事に呆然とするゼシカ…なんてパターンが思い浮かんだ。 872 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/29(月) 17 56 11 ID ID8PzPkw0 ゼシカの唇でスーパーハイテンションなクク萌えw ふしぎなタンバリン要らずだwww 873 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/29(月) 19 47 51 ID Wa1t65AD0 一連の流れで「男は狼なのよ♪気をつけなさい~♪」という歌詞が浮かんだ 年齢をエスパーするのはやめて下さい 874 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/29(月) 22 17 59 ID f2CUrA6u0 ククール「駄目だ、どんなにテンション上げようとしても 凍てつく波動で無効にされちまうぜ」 ゼシカ「嫌な戦い方してくるわね、ドルマゲスの奴…!」 ヤンガス「テンション上げは諦めるしかないでげす」 主人公「僕にいい考えがあるよ。ククールにしか有効でないけど…」 ヤンガス「さっすが兄貴!で、いい考えって何でげすか?」 ククール「俺にしか…?もったいぶってないで早く言えよ」 主人公「いや~…ゼシカがやってくれるかが問題なんだよね」 ゼシカ「何言ってんのよ。こんな時なのよ?私にできる事ならなんだってするわ!」 主人公「分かった、ありがとうゼシカ。じゃ、早速 ククールにキスして!」 875 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/29(月) 22 54 57 ID P7WPgCMs0 大変!呪われイベント前なのに、ゼシカの顔に青筋が…!!!! 876 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/30(火) 00 14 54 ID +9uPB/lk0 あー、今仕事が忙しいんだけど、ここは癒されるなあw SSやネタ投下してくれてる人、ありがとう! 874 なんとゼシカがスーパーテンションに!! 878 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/30(火) 00 17 07 ID Gz2Y/MZq0 876 主人公そこまで読んでたら神だなw 879 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/30(火) 20 19 18 ID NnBn/1QZ0 そしてその強さを杖に見込まれ取り憑かれてしまったのですね ……ってお前のせいかよ主人公(いや回り回ってククールのせいな気も) 880 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/09/30(火) 21 27 15 ID rrmZRxrj0 結局ゼシカはククにキスしたのかしなかったのかw 主人公の発言に対するククの反応が気になる ①「な、ななな何言ってんだよお前!こんな時に…ッ」 ②「お、めちゃくちゃいい案じゃん♪見直したぜ、主人公。 よしっ、マイスイートハニーゼシカ、キスミープリーズ!!」 881 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/01(水) 00 59 17 ID Ab78Lkyh0 テンションはあがるけど、十中八九そのまま情事になだれこむから無駄だと思うんだ 882 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/01(水) 04 05 12 ID aMkG01aW0 ゼシカはククールにキスをした! ククールはスーパーハイテンションになった!! ククールはゼシカをその場で押し倒した! 主人公「ククール!攻撃相手が違うーーー!」 883 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/01(水) 17 06 37 ID YYloIpoC0 ゼシカのキスはテンション上げに最も有効だけど(主にククの) 同時に思考力を著しく低下させ目の前の事(ゼシカ)しか 見えなくさせる諸刃の剣(主にククの) 884 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/02(木) 01 49 22 ID /1LqlDTN0 いっその事ゼシカがククの頬に軽くキスして ちょっと怒ったような照れたような顔で 「………続きはドルマゲスを倒してから、ね」とか言ったら クク一人であっという間にドリマゲス滅してくれそうな気がする 886 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/02(木) 10 23 28 ID GXOnD8p+0 884 でもってドルマゲス倒してキスしてもらおうとしたら、 ゼシカは杖にのっとられてとんでっちゃってお預け。 ようやくゼシカ救ったとしたら今度は「犬倒してからね」 こうなったら呪われたゼシカ倒す際に CH2のさらばハードボイルドシテイー」みたいに ククール「いいさ・・・やれよ・・おまえが元に戻らないなら この世界で生きてる意味がない。昔はおまえを泣かせた男が今はおまえを・・」 ゼシカ「わたし・・・わたし・・」 泣き出す。そして2人のあつい口づけが・・・ そして最後にククールが魔法で杖を破壊する。 (実際には無理っぽく、犬に行くんだろうけど) 887 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/02(木) 14 59 14 ID i/D9VKgi0 呪われしゼシカを開放してゼシカが目覚めた後 真剣な表情と口調で主人公達に「ちょっと俺とゼシカを二人きりにしてくれないか? 大事な話があるんだ…」と頼むククと、その気迫に分かったよと言って部屋を出て行く一同。 そしてゼシカに向き直りベットまで歩み寄ったククが言い放った一言。 「ゼシカ、あの時の続きすんぞ!!!」 …アホククしか思い浮かばない自分はもう駄目だと思いました。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/108.html
868 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/08/05(金) 00 42 32 ID G92JuEYl 「なぜこんなことをした!」 吼えるククールの目をゼシカはじっと見た。 青い虹彩に縁取られた深い穴のような瞳孔はこちらを向いたまま動こうとしない。 「ごめん…なさい」 その冷たい瞳に耐えられず、ゼシカは思わず顔を逸らす。 するとククールはゼシカの顎を掴み、自分の顔の方に向けた。きっちり固定され顔を逸らせなくなる。 「もう一度聞く」 ククールの語調が強まり、怒気が含まれているのが判る。 射られるように強い直視に、ゼシカの汗は引いていく。白い睫が二度三度瞬く。 「どうしてこんなことをした?」 もう目は逸らせそうにない。 「…あなたの、ためだったからよ」 ゼシカは不意に、距離の変わらないはずのククールが遠のいていく気分になる。 視点が崩れ、頭が揺れているような感覚に襲われる。音が、遠い。 870 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/08/05(金) 04 39 12 ID kMXkHEbA 「俺の…ため…?」 耳にざわつく単語を聞いた顔で、ククールが掠れた声を出した。 『こいつは何を言っているのだ?』 それがまず、理解出来なかった。 俺の為にしたというその唇は、青ざめてはいたがみずみずしくて 思わず奪いたくなるほど愛らしい。 …俺が、望むことは『それ』だけだったはずだ。思いやりなど求めちゃいない。望んですらいない。 「…!!」 不意に苦いものがこみ上げてきて、ククールはゼシカを掴んでいた手を離してしまった。 今、『彼女』を側に置いておきたくなかった。 872 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/08/05(金) 12 31 29 ID axS7PVBV 不思議な泉周辺で野営をしていた一行はゼシカの姿が見えないというエイトの言葉で目を覚まし、手分けしてゼシカを探していた。 そしてついさっき、崖から落ちて倒れているゼシカをククールが発見したのだった。 幸い下が柔らかい草だったので大きなケガはなく、ククールのべホイミで完全に回復したが、そんなところを魔物に襲われていたら一たまりもなかっただろう。 「これだけは言っておく。二度とこんなマネするな・・・どれだけ心配したと思ってるんだ・・・」 その言葉に込められた苦悩にゼシカも思わず叫ぶ。 「私だって、あなたが心配なのよ!」 ゼシカは続ける。敵の攻撃を受けても、ククールはいつも仲間の回復を優先し、自分自身は後回しだ。回復手段を持たないゼシカにはそれが苦しかった。 「せめて、一つでも多く薬草をって・・・」 薬草を探すために一人で危険な夜道を歩き回っていたのだと言う。 「・・・怒鳴って、悪かった」 ククールの胸の内は複雑だった。 875 868[sage]2005/08/05(金) 22 37 38 ID 4OX4sqgQ 「私もほんとに、ほんとにごめん。もう…危ないことしないから」 「いい、わかった、俺も悪かった」 二人はしばし沈黙した。 だがククールとゼシカの複雑な思いをよそに、時間だけは過ぎようとする。 「…戻ろ、エイトもヤンガスも心配してる」 歩き出し、遠慮がちにこちらを見るゼシカの表情が辛かった。 気づけば暁も消え去り、暗く静かな夜だった。先ほどから無言で二人は歩いている。 足元がふらふらするのは、果たして打身の痛みだけだろうか?ゼシカはククールの一喝に痺れたような感覚を覚えていた。 腰の袋に詰め込まれた薬草も、この痛みは癒せないかしらね、とぼんやり考えながら黒い木立を見つめる。 「行くなよ」 不意にククールが言った。 「え?」 ゼシカは立ち止まる。 「もう一人で…行くなよ」 ゼシカが振り返ると、腕組をしたククールが立っている。 その表情は先ほどまでの険しさは微塵も感じない、穏やかだが限りなく無に近い表情だった。 「俺のためとか言われても、お前が怪我したらシャレになんねぇし…その」 じっとゼシカの目を見た。 「青ざめたゼシカなんて呪われてる間だけで十分だし、なんつーの? 決して嬉しくないわけじゃないけど、心配してもらってありがたいけど、…俺なんかのためにもういいよ」 「やめてよ、そういう顔するの」 ゼシカの前に立つククールは、穏やかだが悲しそうな顔をしている。 「私のお節介がいけなかったって思ってる…でももうそんなこと言わないで?」 ゼシカの胸で悲しみが湧き起こる。 「いつもそんな風に一人で諦めたようにして、自分は捨て鉢みたいなくせにみんなばっかり心配して、 見てて苦しくなるの。だから、だから…」 ゼシカは俯いて、泣いてしまった。 876 868[sage]2005/08/05(金) 22 39 38 ID 4OX4sqgQ 「…俺、あなたのためとか言われたことなかったんだ」 ポツリとククールは言った。 「ゼシカを心配してたのに何言ってんだかわかんなくて、理解が追っつかなくて、混乱した。 俺が心配するのは慣れてる。でも思いやられるとか、慣れてないんだ。 いつもみたいに軽口も叩けない。なあ、俺どうすればいい? 俺のために何かしてくれるゼシカになんて言ったらいい?」 「ククール」 うつろにこちらをみるククールがゼシカには泣きそうに見えた。 「薬草ありがとう、ほんとにありがとう。ゼシカにお礼まだ言ってなかった」 手袋を外して、ゼシカの涙をぬぐった。だが、荒れる気持ちは一向に収まらなかった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/207.html
リーザス村に滞在して三日目の朝、村を発つ前に教会に寄る事になった。 「あら?あそこでお祈りしているのは…」 教会に入って直ぐ、ゼシカが入り口付近で真剣そうに祈っている男に目を向けた。 「知り合いか?」 「ええ、村にたまに来る商人よ。…直接話した事はないけれど…、この教会によく来ていたし一応顔見知りかしら」 「ふうん…」 「随分と熱心に祈っているがすね。あっしらに全く気がつかないでがす」 「…あんなに一心不乱に祈っている姿を見るのは始めてだわ」 「一体何のお祈りしているのか聞いてみよーぜ」 男自体には微塵の興味もなかったが、あそこまで神経を集中して 何をそこまで思い悩んでいるのかには少しだけ興味があった。 「やめなさいよ、悪趣味だわ」 「そうでがすよ」 ゼシカ達の制止も聞かず、男のすぐ後ろに忍び寄る。 「ああっ…なんて美しいんだ。お祈りする姿も、溌剌とした笑顔も、その全てが…っ、美しすぎるぅっ! 神よ。身分も違い、心が他の人に捕らわれているお方に恋してしまった私は、どうすればよいのですかっ!?」 なんだコイツ、そんな事で悩んでいたのか。 もっと人生が掛かった何かかと思ったのに。 まあコイツにしてみれば重要問題なんだろう。 それにしても必死な…。 ふと俺の中に悪戯心が芽生え、口元が弧を描いた。 「ならばコクるがよい。ダメでもともと。当たって砕けろ。神は行動する者に祝福を与えよう」 落ち着いた声色を作り、頭上から諭すように言った。 「……今の声はもしかして神様っ!?わかりましたっ!必ずやおっしゃる通りに実行します!」 てっきり驚いてこちらを顧みると思ったが…。 まさか信じてしまうなんて、なんて単純な奴だ。 俺は込み上げてくる笑いを慌てて噛み殺した。 「神様がこの気持ちを告白せよとおっしゃったんだ!よーし、絶対あのお方にコクるぞ~」 叫びながら教会を後にした男を見て、とうとう抑えきれなくなり噴き出す。 エイトとヤンガスは呆然と男が立ち去った方を見つめていた。 最後まで俺たちの存在に気がつかないなんて、相当な盲だな。 「くっ…くくく…」 腹を抱え肩を震わせ嗤う俺に、ゼシカは呆れた様子で近づいてきて言った。 「ちょっといいの?あんなこと言っちゃって……」 「いいんだって。あの手のタイプは背中を押してやらないと何にもできねえんだから」 「私が言ってるのはそういうことじゃないの! 「仮にも聖堂騎士なんてやってるあんたが神の名を語ったりしていいのかってことよ」 「それこそノープロブレムさ!俺の神様はそんな細かいことに拘りゃしないからね」 ゼシカの苦言を軽く流す。 「……あんた、いつか絶対に天罰が下るわよ」 天罰って本当にあるのかもしれない。 俺は自分のほんのちょっとした悪戯心からの行動を後悔する事になるとは、 この時は思ってもみなかったんだ。 旅支度を全て整え、いざ出発だという頃には教会での事なんてすっかり忘れていた。 ゼシカの村を訪れるのは俺以外の面子は2回目だったらしく、 始めて来た俺はそれを口惜しいように思ったが、この三日間リーザス村をしっかり堪能させてもらった。 酒もポーカーもバニーちゃんもないような所だが、それなりに楽しめたのは やはりゼシカの故郷であるという事が大きいだろう。 …ここでのゼシカは普段旅している時とどことなく違う感じがするだよなあ。雰囲気とか。 それにゼシカを色んな意味で育んだ村だと思うと色々感慨深い。 ほとんど無意識に眼下の胸元に視線をやると「何よ?」と不機嫌そうに睨み返された。 曖昧な笑みで誤魔化し、リーザス村の門を出ようとした時だった。 「ゼシカおじょおぉぉぉさまぁぁぁぁぁあぁぁ」 地を割くような轟音…じゃなくて大声が、俺達の足を止めた。 視線を転じると、あれは…。 間違いない、教会で必死にお祈りしていた男だ。 やたらと息が荒い。 エイトやヤンガス、それにゼシカも何事かと目を瞠っている。 「ゼシカお嬢様、私は…私は…!」 ま、まさか──。 嫌な予感が背中を走り、咄嗟に男の行動を阻止しようとした── 「私はゼシカお嬢様をお慕いしています!!」 …言いやがった。 伸ばしかけた手が行き場を失い、宙を彷徨う。 一緒にいる俺達には目もくれずに、一直線にゼシカの所へ駆けてきやがって。 猪みたいな奴だ。 ゼシカの方を見やると、唖然とした表情で立ち尽くしていた。 あー、こんなに目を見開いて。元々でかい目がさらにでかくなってら。 こりゃー頭の隅にも考えてなかったって顔だな。 諦めろよ、見込み0だぜ。頭の中で男にぼやく。 固まったようになっていたゼシカがようやく戸惑い気味に口を開いた。 「…ちょっと、いきなり何言ってんの、…冗談」 「冗談ではありません!ずっと…ずっと前から私はゼシカお嬢様に恋焦がれていました!」 男はそれを遮り畳み掛けるように言うと、尚もゼシカに詰め寄る。 ゼシカはいよいよ困惑状態で陥ってしまったようで、エイトに心許なげな視線を送ってきた。 眉根に皺を寄せ上目使い気味の目線はなかなか色っぽい──って、違うだろ。 なんで俺に助けを求めないんだ。…エイトなんかよりよっぽど場慣れしているぞ、俺は。 「い、いきなり、そんな急に言われても…」 困ったように眉を八の字に寄せるだけのエイトを見て、頼りにならない事を悟ったのか ゼシカは男の方に視線を戻すと自身で説得を始めた。 だから何で俺を頼らない。 人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえって言うが…。 ゼシカが俺に助けを求めてくれたなら、迷わず馬に蹴られてやるぜ。 それで死ぬなんてヘマは俺はしないけどな。 しかしながら…ゼシカにしちゃ随分と腰が低くないか? 俺に対してはもっとこうー…ズバズバ言うのにな。 「第一、あなたと私…喋った事ないじゃない…」 …なまじ気心が知れた相手じゃないというのがネックなのかもな。 ま、それだけ俺とゼシカが親密って事だな、うん。 せっかく一人納得していていた所だってのに、男の忌々しい台詞がそれを打ち消した。 「リーザス村を訪れるたびにあなたの事を見ていました。教会でお祈りをしたり、花に水をやったり、 村の子供達を見守る温かい視線とか…そんな些細な事一つ一つが全部眩しくて、 ずっとずっとお話したいと心の底から望んでいました」 一言一句に想いを強く籠めるような、熱の入った言葉。 こっ恥ずかしい台詞をよくもまあ…、顔から火が出そうだぜ──なんて、日頃の自分を棚に上げて思う。 だけどよ、自分に酔い女性を骨抜きにするような甘い台詞を吐けるのは美男子の特権だろ? それにしても気に食わない。胃がムカムカする。 なんだ、これ…。 ゼシカがこいつの言葉を受けて顔をほ仄か赤らめたからか? 俺が口説いた時みたいに一刀両断にしてしまわないからか? ──違う。それもあるだろうけど、それだけじゃない。 …俺の知らないゼシカを、こいつは沢山知っている。 まさか教会でのインチキアドバイスがこんな事態に発展するとは思わなかった。 俺としたことが、身分違いがどうとか述べている時点でどうして気づけなかったのか。 ゼシカが口を聞いた事がないとか言っていたから、無意識の内に安全牌としていたのかもしれない。 考えてみればゼシカくらいの美人なら、話した事なんかなくても一目惚れされたりとかあるよな…。 だけど、もう一つ引っかかる事がある。さっき、こいつは──…。 「なあ、“心が他の人に捕らわれている”ってどういう事だ?」 俺はここで始めてまともに男に話しかけた。同時にゼシカを自分の背に隠すようにして男の前に出る。 もちろん、さっきみたいな神様ごっこはなしだ。 「なんだ、お前?いつの間にここに…!」 「…さっきからいたでがすよ」 「ええい、いきなり湧いて出てきやがって…。 私は今ゼシカお嬢様と大事なお話の最中なんだ!邪魔をするな!」 ヤンガスのツッコミをあっさり無視し俺に食って掛かる。 こいつ、夢中になるととことん一つの事しか目に入らないタイプなんだな。 俺が気になっている事の答えを聞こうにも、こいつのこの状況を見る限り無理だ。 こちらが受け答えをせずとも一人で熱くなり、ぎゃんぎゃんと喚く男を一瞥する。 ああ鬱陶しい野郎だぜ。 さて、どうしたものかと考える。 教会で男が言っていた「心が他の人に捕らわれているお方に」という言葉が、 どうにも気になって仕方がない。 ゼシカが心を捕らわる程に想っている男の存在なんて俺は皆目覚えがなかった。 今日という今日まで一緒に旅をしてきて、ゼシカの事は特に注意深く見ていたが、 そんな影を臭わせる様子なんて微塵もなかった。 強いて言えばドルマゲスのせいで不幸な最期を遂げてしまった兄の事だが…。 そりゃ論外だ。男つっても身内だし、恋い慕うようなもんじゃない。 考えれば考えるほど思考の迷宮へと誘われて行く。 ふと頭を過ぎる、よく知った御人好しの顔。 …意外とありえるかもしれない。 人相の悪い男の隣で、いかにもこの状況を持て余していますという感じの我等がリーダーを横目に確認する。 いやいやいやいやいや、ないない。それはない。絶対ない。 確かにゼシカはエイトに対してかなりの好感を持っているように見えるが…。 ただ純粋に仲間のリーダーとして頼っているだけだ。うん。よし、落ち着け。 焦ってはだめだ。急いては事を仕損じるだ。冷静になれ、ククール…。 まずはこの、目の前で発狂して聞く耳持たずの男をどうにかしなければ。 …ふう。 殊更に溜め息を一つ吐くと、男の目を真っ直ぐ見据える。 「ゼシカはお前には靡かないよ。諦めるんだな」 「な…っ?!そんな事お前に言われる筋合いはない!大体お前はゼシカお嬢様の何なんだ?!」 「何って…言っていいかな、ハニー?」 自慢の銀髪を片手で掻き上げながらゼシカを振り向くと、わざと意味深長に問いかける。 「誰がハニーよ…ただの旅の仲間でしょ」 「照れない、照れない」 「…あのねえ…」 男とのやりとりのせいで疲れ果てているのか、ゼシカの返しにいつもの切れがない。 俺が男との衝立のようになっている事に、内心ほっとしているようにも感じられた。 なんか俺の後ろで気弱そうにしているゼシカも新鮮で可愛いな、なんて呑気に思ったりしたもんだが…。 ひりつくような視線を感じ、男の方に向き直ると、怒りと嫉妬に燃える瞳がはっきりと俺を捉えていた。 「お前ぇ…、ゼシカお嬢様に慣れ慣れしすぎるぞ。はっ!もしやお前…っ!」 憤然とした声をさらに荒げ、ついに大爆発── 「…いや、そんなはずはない」 するかと思ったんだが、急に治まりやがった。正直拍子抜けだ。 まるで空気が抜けて萎んじまった風船のようだな。 「ゼシカお嬢様があのお方以外に心奪われるはずがないんだ…」 しかも今度は一人で何やらぶつぶつと言い始めた。ちょっと気持ち悪い。 「そうさ。私が何度とと声をかけようとし躊躇ったのは、いつもあの方がゼシカお嬢様と共にいたから…」 「お、おい?」 だからあのお方ってのは誰だ。ゼシカの何だっていうんだ? 思わず振り返り視線を交えたゼシカは、ぽかんとした表情をしていた。 ゼシカもこの男の言っている事がよく飲み込めずにいるらしい。 どういう事だ?! 「ゼシカお嬢様の目を見ていれば分かる…ゼシカお嬢様はあのお方しか見ていないと…」 まるで俺達と男との空間が切り離され、男からは見えなくなってしまったかのように独言が続けられる。 あのお方、あのお方って…自分の世界に閉じ篭りやがって…。 なんとか抑えてきた憤りの芽がそろそろ地上に這い出してきそうだ。 まともな対話というものができないのか、こいつは。 人が優しく言ってやっているうちに大人しく言う事聞くもんだぜ。 眉間に刻まれた皺を伸ばすように額に手を置く。 このまま突っ立ってても埒が明かない、そう判断し男に再度声をかけた。 「お前な、いい加減人の話を…」 「まるで恋人同士のように寄り添うお二人のお姿…」 ──我慢の限界だった。 「だからその、“あのお方”とやらは一体何なんだよ?!」 「ゼシカお嬢様はサーベルト様以外の男には一切の興味もないんだ!」 俺と男が叫ぶのはほぼ同時だった。 突然降って来た怒鳴り声に男はようやく我に返りこちらの世界へ戻ってきた。 敵対心を顕にした顔で睨みつけ、また煩く吠え始めたが…。 わりいな、お前の相手をする気はもうないんだ。 「おい、お前無視するな!」 さっき散々置いてかれた事だし、今度はこちらが男の存在を無き者とする。 今はそれ所じゃない。 男の口をついて出た言葉、ゼシカと恋人同士のように寄り添うよな男の正体。 ──聞き間違い、だよな? だけど…。 その名前には確かに聞き覚えがあった。 「サーベルトってゼシカの兄さんだよな?」 ゼシカを顧み半信半疑といった感じに尋ねる。 すると、俺の背中から半分くらい身体を出して、ぎこちなげに俺と目を合わせた。 何故か迷子になった子供みたいな顔をしていて、ひどく幼く感じられた。 どうしてだか胸が騒めく。 「そうだけど…」 あまり切なそうな顔しないでくれよ…。 分かっているさ。ゼシカがどれだけ自分の兄を敬愛していたかくらいは。 でも兄貴はあくまで兄貴だ。 「別にサーベルト兄さん以外に興味ないわけじゃないわ」 ほらな。恋愛とは別物だ。教えてくれ、ゼシカ。 お前には、心捕らわれるような男が既にいるのか…? 気がつけば完全にゼシカと向き合った状態で、喉をごくりと鳴らしていた。 次の瞬間俺は、がらにもなく凍りついたかのように固まってしまう。 「…兄さん以上に素敵な人が、今までいなかっただけで…」 思考が一旦停止ののち再び回り始める。 おいおいおい、ゼシカさーん? なんでそこで頬染めるんだよ…。 さっきあの男の熱烈な愛の告白の時とは比べ物にならないくらい真っ赤じゃねーか…。 その後暫くしてゼシカを見送るため駆けつけたポルクとマルクに、 ゼシカに恋情を抱いた男を強引に引き渡す事で、なんとかその場を収めた。 エイトやヤンガスはこれで一件落着と思っているみたいだが、俺としてはまだ全然終わっていない。 まだ微かに頬から赤みが抜けないゼシカを見据え、思い切って問いかけた。 「ゼシカ…もしかして、兄貴以外の男好きになった事ない?」 ───嘘だろ…。 聞かなきゃ良かった。 見る見るうちに顔が上気していくゼシカに俺は目を剥いた。これ以上ないくらいに赤くなり俯く。 どうやら俺は、いよいよ確信に触れてしまったみたいだ。 耳の先から項の方まで、まるで泥酔した人間のような色味を帯びている…。 …レディを酔っ払いに例えるなんて、些かロマンチックではかったな。 もっと他に──そうだ。 今まで俺と見詰め合い、耳元に愛の言葉を囁きかけてきた女の子達と同じくらいの“赤”だ。 同じくらいの……──だけど、既視感なんてまるでなかった。 こんなゼシカ見た事がない。 まるで…というよりまんま恋する乙女にしか見えねえ。 「…こんなゼシカの姉ちゃん始めて見たでがす…」 不意に耳に飛び込んできたヤンガスの声。それに頷くエイトの気配。 やはり皆同じ風に思ったらしい。 ……あーあ、折角こんな可愛らしく珍しいゼシカを拝めたっていうのに、ちっとも楽しくねえな。 ゼシカに告白してきやがった男の件だけでも胸糞悪いってのに…。サーベルト兄さんねえ…。 厄日だな、今日は。 「ゼシカはまだまだお子様なんだな」 旅路を急ぐ中この先の事を悶々と考えあぐねていて、何となく零れ出た呟きは、 すぐ傍を歩いていたゼシカにばっちりと聞こえてしまったらしい。 「何よ?」 すぐさま返ってきた声は普段の勝気なものに思えた。 「いや、まさか未だに初恋が兄貴とはなー…」 「…そんなんじゃないわよ」 「だったら何だって言うんだ?」 押し黙ってしまったゼシカに、少し決まり悪い気分になる。 あの男との一件以降何か様子がちがくて、どうも調子が狂う。 「大人の恋の手ほどきを、俺がしてやりましょうか、お嬢様?」 またもやもやしたものに蝕まれそうになって、侵食されまいと 半ば無意識のうちにいつもみたいな軽口が飛び出していた。 「結・構・よ!聖堂騎士さん」 ふんっと顔を背けずんずんと前を行くゼシカを見て、 俺のよく知っているゼシカにやっと会えた──そんな気がした。 …そうだな、あいつは俺がゼシカと出会う前からゼシカの事を見知っていて、 俺が見た事ない数々のゼシカを見てきたんだろう。 例えば、サーベルト兄さんとやらにべったりなゼシカとかな。 だけど俺はこうやってゼシカ一緒に旅をし…まあ二人きりではないが…こうやって話し、 あいつの知らないゼシカを俺は俺でいっぱい知っているってこった。 そう思ったら少しは気分が晴れたような気がした。 ━ゼシカ視点━ 「ゼシカ…もしかして、兄貴以外の男好きになった事ない?」 この質問に私は自分の顔がさらに熱くなるのを感じた。 なんて答えたらいいのか分からない。 仰ぎ見ると信じられないって顔でククールが私を見ている。 でも、だって…。言えるわけないじゃない。 私は確かに、今まで兄さん以外の男の人になんて目もくれずに来た。 そう今までは…。男の人がこんなにも気になるの、兄さん以外で始めてなんだもの…。 だけど兄さんの時とは何か違う。 こんなにもドキドキして、相手の一挙一動に心が掻き乱される。 始めての感覚だった。 その本人からこんな質問されたら、なんて返したらいいのよ…! マルクとポルクのおかげであの場はなんとか片付いて、これで終わりかと思った。 だけど次の町を目指し歩いている最中にククールに言われたの。 「ゼシカはまだまだお子様なんだな」 なあに、そのわざとらしい溜め息混じりの話し方は。 瞳に揶揄の色をたっぷり浮かべて言うククールを恨めしそうな顔で見上げる。 「何よ」 「いや、まさか未だに恋慕の相手が兄貴とはなー…」 違う。私はあんたの事が──思わず口をついて出そうになった言葉を、慌てて引っ込める。 「…そんなんじゃないわよ」 「だったら何だって言うんだ?」 「…」 ずるい。そんな風に聞くなんて…急に真剣な顔しないでよ、バカ…。 さっきの商人の男を思い出す。 あまりに真摯に告げられた想いに、私はどうすればいいか分からなくなってしまった。 軽いナンパ男をあしらうのは訳がないのに…。 同時にショックだったわ。 本気の言葉って、こんなにも違うものなのね、って。 いつも私に囁かれる、どの女の子にに対するのと変わらない火遊びの言葉とは全然別物で、 泣きたいような衝動に駆られた。 …ククールにとって私って一体何なの…? 「大人の恋の手ほどきを、俺がしてやりましょうか?お嬢様」 …またこれだわ。 くやしい。 本気じゃないくせに軽々しく言わないでよ。 やたらと気障ったらしい笑みを湛える男を思いっきり睨みつけてやった。 「結・構・よ!聖堂騎士さん」 私ばかりククールを好きで、ばかみたいじゃない。 《完》
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/69.html
全てのオーブが揃ったのはオーブを探しはじめて2日目の昼を過ぎた頃だった。一行は昼食を済ませ後片付けをしていると、エイトがみんなを集めてこう言った。 「明日はいよいよラプソーンとの決戦になると思う。だから明日まで各自、自由行動にしようと思うんだけど。どうかな?」 「いいでがすね」 「・・・なんかそれって死ぬ前にやり残した事やって来い、って言われてるみたい」 ゼシカは苦笑いを浮かべている。 「あ、そーいう意味で言ったわけじゃ」 慌ててエイトがフォローすると 「あはは、わかってる。冗談。私死ぬつもりなんてないもの」 あまりのゼシカらしい発言にみんなでクスクスと笑い合った。 ククールはゼシカが死んだらオレも後を追ってやるよなどと冗談を言ってゼシカを怒らせていた。 「では、そういう事でよろしいですね陛下」 「うむ。ワシはミーティアとふしぎな泉に行っておるぞ」 「では、わたしもお供します」 どうやら、トロデ、ミーティア、エイトは泉でゆっくりするらしい。 他のメンバーはどうするのだろう。聞かなくても大体わかるが一応ゼシカはヤンガスに聞いてみた。 「アッシは兄貴と一緒に行くでがすよ」 やっぱり。 自分はどうしようかとゼシカが思案に暮れているとククールが話し掛けてきた。「ゼシカちゃん、オレには聞いてくんないの?」 「・・・」 ククールの顔をチラリと見やり、どうせカジノか酒場だろうと思いながら一応聞いてみる。 「・・・で、アンタはどーするの?」 然して期待もしていなかったせいか、とても意外な答えが返ってきた。ククールはゼシカの質問に満足気に笑うと彼女の手を取りその指先にキスをした。 「ゼシカ姫のお供をしたいと存じます」 リーザス村の東、リーザス像の塔に2人は来ていた。ゼシカの兄サーベルトの墓参りの為だ。 「兄さん、明日で全ておわるからね。そしたら、また此処に帰って来るから・・・」 途中で摘んだ小さな花を墓に供え手を合わせる。 後ろでは「お兄さんにオレの事紹介してくれよ」と言っているククールを無視してゼシカは立ち上がる。 「ね、もうひとつ付き合ってよ」 そう言うとククールを塔の中へと促した。 リーザス像までの長い道、ゼシカは幼い頃の思い出を語りながら歩いた。 サーベルトと一緒に塔まで来て遊んだこと、その事で母に叱られたこと。年に一度の聖なる日の祭りのこと。 リーザス像の元に着いた頃にはすっかり日も西に傾いていた。 ククールがぽつりと呟いた。 「へぇ・・・綺麗だな」 「でしょ?私も此処からの眺めが好き」 ゼシカは塔の端に腰掛けククールに笑い掛けた。夕日を受けたゼシカの髪がいつもよりも赤く輝いて見えた。 ククールもゼシカの隣に座る。風や木々の揺れる音、鳥の囀り、世界は平和そのものに思えた。 暫らくの沈黙が続き、ゼシカはククールの肩に頭を預け目をつぶった。 「・・・寝てるのか?」 「うぅん・・・。もう少しこうさせて・・・」 その後はただ何をしゃべるでもなく2人は暮れてゆく空を眺めていた。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/237.html
* 姑息なモンスターとの戦闘で、命に関わりはしないものの身体中ケガだらけ。 打撲に擦り傷切り傷打ち身、ククールはベッドの背にもたれて足を投げ出し、あ~う~と唸った。 「いてぇよもう最悪チクショー」 「情けないわね、子供でも我慢するような傷じゃないの。少し辛抱しなさい」 ベッドの縁に腰掛け、ぴしゃりと言い放ったゼシカ嬢の身体にケガは見当たらない。 強くはないのになかなか死なない、しかも運悪くつうこんのいちげきを喰らったゼシカが やられてしまった。雑魚と侮ったのが悪かった。なんだかんだと魔法や道具を 使っていたら、ようやく倒せた時には全員のMPと回復道具はほぼ底をついていたのだ。 まず上やくそうは資金繰りのために大量売りした直後で、元手のやくそうも見当たらない。 ククールは真っ先に、残り少ないMPでゼシカにザオリクを使ったのだが、ストップ!という エイトの声に振り向いた時には、すでにゼシカは生き返っていた。これでククールの回復呪文は 使えなくなった。エイトはすでに自分とヤンガスに回復呪文を唱えたあとで、 ヤンガスはさらにエイトを全快にするため最後のホイミを使ってしまったあとだった。 残されたのは、一人、全身ケガだらけのククール。 「こういうセコい傷が一番痛ぇんだよ」 「すぐ近くに教会が見つかってよかったじゃない。一晩眠れば治るわ。泣き言言わないの」 ククールの擦り傷のために、まほうのせいすいを使うとかどこかでやくそうを買うなどの案は、 常に金に余裕のないこのパーティでは、さほど議論もされずにすぐ却下。 運良く見つかった教会にも、HPに問題のない者まで泊まるのは宿泊代の無駄だということで、 ククールだけが一人寂しく残され、あとのメンバーはゴールド&レベル稼ぎにいそしむことになった。 ゼシカが桶の水にタオルをひたし、それをギュッとしぼる。 「…私にザオリク使うからよ」 「仕方ねぇだろ、条件反射で使っちまったんだから」 「………上着、脱いで」 少々複雑な面もちで、ゼシカはククールの詰め襟を示す。ククールはふてくされて言った。 「腕動かすのも痛え。脱がして」 「…帰るわよ」 「…わかったよ」 赤い制服を脱いでシャツのボタンをいくつか開けると、あとはゼシカに任せるように息をついて背後に凭れた。 「フェミニストなのもけっこうだけど、もう少しあとさき考えて行動しなさいよね」 「あとさき考えてたら蘇生間に合わなかったかもしれねぇだろ」 「だったらそれ以前に、蘇生魔法を使うような事態にならないよう気を付ければいいでしょ」 「あーすいませんでした。思った以上にゼシカが打たれ弱かったもんで」 「失礼ね!護る護るって、口先だけのあなたに言われる筋合いないわよ!」 「かわいくねぇなぁ、素直にありがとうとか言えねぇわけ?このわがままお嬢さ…イテェッ!!」 いちばん大きな胸の傷にゼシカのタオルの冷たい水がしみ、ククールは咄嗟に声を上げた。 「大げさ!まだ薬も塗ってないわよ、ただの水よ」 「だーから、こういうのが一番いてぇんだって… ッッ!!いてぇ!!」 ククールはたまりかねて自分の胸元にあるゼシカの手首をとった。 「やめろマジで!」 「傷口ふいてるだけでしょ!?少しぐらい我慢しなさい!」 「いいって!舐めときゃ治るって!」 「信じらんない…どっちが打たれ弱いのよ!?」 ゼシカは身を乗り出し、他の傷口にもタオルを当てようとするが、もうククールは少しでも タオルが傷に触れるだけで、痛いやめろと暴れてどうしようもない。しばらくベッドの上で攻防したあと、 すでに彼に馬乗りになったゼシカは、心底呆れた顔ではーーーーっと大きなため息をついた。 「…どこだったら痛くないの?」 「………ここ」 指さした場所は、シャツをまくりあげた肘。 ゼシカがそこにタオルを当てようとすると、ククールがそれを制して言った。 「ゼシカが優しくしてくれたら痛くない」 「…どうしろっていうのよ」 「さっきも言っただろ?こーいうのは舐めときゃ治るの」 首を傾げたゼシカが、その催促の意味に気付くと同時に頬を赤らめた。ククールの笑みには 余裕さえ浮かんでいて悪ガキのように子憎たらしい。しばらく躊躇していたゼシカは、 思い切って顔を上げると彼のかかげた肘に小さく口づけた。 「………他は?」 「ん~、………ここ」 もう片方の肘。 「あとは?」 「ここ」 鎖骨。 「…あとは?」 「ここも」 ゼシカは歯を食いしばって恥ずかしさを耐えると、示された首筋におそるおそるキスをする。 至近距離で見つめ合い、ゼシカは真っ赤な顔で困ったような表情をしながら尋ねた。 「…もう、ない?」 「ここも、かな」 おでこを指されると、いい加減あきらめがついたのか、ゼシカはもうッ!と文句をいいつつ わざとチュッと音を立ててそこに口づけた。 「ここも」 ククールがそう言い終わらない間に、頬にキス。 これで終了、とばかりに、「まったくもう…」と言いながら離れようとしたゼシカの顔を、 離れないうちに素早く下から両手ではさんで捕まえたククールは、魅惑のまなざしをゼシカに向けた。 「………ここも………」 彼女の可憐な口唇をゆっくりと導く先は、己の口唇。 かすかに戸惑う気配を見せたゼシカに隙を与えず、捕まえた手に力をこめる。 2人が同時に目を閉じた瞬間ーーー 「ゼシカー!ゴールド&レベル稼ぎにそろそろ行くよー!ククールは一泊させたら どうせ回復するんだから、傷の手当てなんてしないでほっといていいよー!!」 「「!!!!!」」 「そっ、そうよね!ごめんなさいすぐ行くわ!!」 「こらゼシカ待て!!」 文字通り夢から醒めたゼシカはすぐさまベッドから飛び降りると、あたふたと扉の前まで走った。 ノブを握ってから気まずそうに振り返ると、案の定これ以上ないくらい不機嫌な、困った男のスネたまなざし。 ゼシカは、謝るのもおかしいし、かと言って怒ることもできず、まるで抗議のように小さな声で呟いた。 「………甘えんぼ」